シニアの再就職・就業実態調査から見えた「健康である限り働きたい」意欲と「年齢の壁」

再就職の壁は「年齢」、それでも高い挑戦意欲
再就職活動で最も苦労したこととして、「応募案件探し(年齢の壁)」が71.0%と最多でした。これは、履歴書作成や面接対応よりもはるかに高く、シニア層が再就職の入り口で大きな障壁に直面している現状を示しています。

年齢別にこの傾向を見ると、65歳を境に「年齢の壁」を感じる割合が急上昇し、70〜74歳では80.6%に達しています。

しかし、現在の仕事が終了した際、新しい仕事への挑戦を希望する人は全体の74.1%に上ります。「年齢の壁」に苦労したと回答した人でも、75.2%が新しい仕事への挑戦を希望しており、シニア層の高い就業意欲がうかがえます。

新しい仕事に挑戦したいと回答した人が見つけたい仕事としては、「スキルを活かせる仕事」が54.8%で過半数を占めました。報酬アップよりも、これまでの経験やスキルを活かせる場を求めていることが分かります。

「健康である限り働きたい」シニアの強い意欲
何歳まで勤務を希望するかという問いに対しては、「健康である限り」が45.5%で最多でした。特に75歳以上では73.7%に達し、75歳まで、あるいはそれ以降も働きたいと考えている人は合計で82.1%にのぼります。これは、多くのシニアが引退年齢を明確に定めず、健康な限り働き続けたいと願っていることを示唆しています。

働く目的の変化:収入と社会との関わり
就業の目的としては、「収入を得るため」が63.8%で最も多く、「社会との関わり維持のため」が50.4%と続きます。

年代別に見ると、69歳以下では「収入」が「社会との関わり維持」を大きく上回る一方で、70歳以上では「収入」(61.3%)と「社会との関わり維持」(59.5%)がほぼ並びました。これは、年齢を重ねるにつれて、働く目的が収入だけでなく、社会とのつながりを保つことにも重きを置くようになる傾向を示しています。

また、「社会との関わり維持」や「生きがい」を働く目的に挙げた人は、仕事にやりがいを感じている割合が82.6%と高く、これらの目的を持たない人よりも約19ポイント高い結果となりました。

やりがいと経験を活かせる仕事
現在の仕事が「経験を活かした職種」である人は、仕事にやりがいを感じる割合が79.0%でした。一方、「経験とは異なる職種」で働く人では64.4%となり、約15ポイントの差が見られました。仕事内容の満足度には大きな差がなかったことから、経験を活かせるかどうかが、満足度よりも「やりがい」に影響を与えることが示唆されます。

長く働き続けるための鍵とAI・リスキリングへの前向きな姿勢
仕事内容の満足度は、勤続年数が長くなるほど高まる傾向にあり、勤続5年以上では90.3%が仕事に満足していると回答しました。

また、現在の仕事を長く継続するために重要なこととしては、「自らの体調/家族の理解」が69.6%で最も多く挙げられました。報酬よりも、自身の健康と家族の支えが長く働き続ける上で不可欠だと考えられているようです。

AI活用については、全体の47.1%が活用していると回答し、75歳以上でも47.4%が活用していることが分かりました。リスキリング(学び直し)についても、約8割が前向きな姿勢を示しており、22.5%が既に行動に移し、57.2%が検討中であることが明らかになりました。


考察:シニアがやりがいを持って働き続けるための示唆
今回の調査結果からは、シニアがやりがいを持って働き続けるための二つの重要な示唆が得られます。
一つは、キャリアや経験を「次のステージへ繋ぐ」ことと、やりがいの関係です。経験を活かせる職種で働くことは、仕事のやりがいに大きく影響する可能性があります。リスキリングやAI活用に前向きな姿勢は、自身の経験に新たなスキルを加え、次の機会へと繋げようとする意欲の表れとも解釈できるでしょう。
もう一つは、年齢を重ねるほど、働くことが「社会との関わり維持」になるという点です。70歳以上では、働く目的として「収入」と「社会との関わり維持」がほぼ同等に重視されています。社会との関わりや生きがいを目的に働く人は、より高いやりがいを感じている傾向が見られました。健康な限り働き続けたいというシニアの願いは、社会とのつながりを持ち、自身の経験や能力を活かし続けたいという内面的な動機と深く結びついていると考えられます。
まとめ
シニア層の就業意欲は非常に高く、多くの人が「健康である限り働きたい」と願っています。しかし、再就職における「年齢の壁」は依然として大きな課題です。シニアがやりがいを持って長く働き続けるためには、自身の経験を活かせる仕事を見つけること、そして社会との関わりや生きがいといった内面的な目的を持って働くことが重要であると、この調査は示唆しています。リスキリングなどを通じて新しいスキルを身につけることは、経験を活かす機会を広げ、新たな分野への挑戦を可能にするでしょう。
この調査結果が、シニアの皆さんの今後の働き方や、それを支える社会のあり方を考える一助となれば幸いです。詳細はお住まいの自治体や専門の相談窓口、ケアマネジャーにご確認ください。
調査概要
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調査名称: マイスター60 スタッフアンケート2026
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調査対象: 株式会社マイスター60で就業中のスタッフ308名
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有効回答数: 224名(回答率72.7%)
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回答者属性: 70歳以上49.6%(70〜74歳32.6%・75歳以上17.0%)、65〜69歳34.8%。主な担当業務は設備管理76.8%、建設業(設計・施工管理)4.5%、エンジニアリング1.3%
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調査期間: 2026年6月
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調査方法: Microsoft Formsによるアンケート調査
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比較データ: 2024年6月実施の同形式調査(回答178名)。設問形式が一致する項目のみ参考値として比較
関連情報
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